Interview

インタビュー

【B.D.F講師&ゲスト 特別インタビュー #1】

スポーツトレーナーからスポーツ界を変える

右:B.D.F講師 山田 晃広氏
左:ノジマステラ神奈川相模原 大野忍選手

BDF第1回アスリート講演会が5月21日に行われ、なでしこ通算得点女王の大野忍選手と日本人初スペイン1部トレーナーの山田晃広氏が登壇しました。参加した約50名は、スポーツトレーナーを志す学生からスポーツドクターまで様々。講演会は始終アットホームな雰囲気で、大野選手にはヨーロッパでの競技生活や日本人トレーナーとの違い、山田さんにはトレーナーとしての心得やヨーロッパのトレーニング事情などを語っていただきました。 そこで今回、アスリートとスポーツトレーナー、日本のトップお二人にこれからの日本のスポーツ界、スポーツトレーナー、そしてB.D.Fの可能性について伺いました。
(取材・記事 堀池 美沙)

山田氏が講演等を開催するに至った経緯とは

ー山田さんがB.D.Fで講演やトレーナースキルを開催するのは、どういった経緯でされているのですか?
僕がスポーツトレーナーを目指していた学生の頃、細かい”技術”や”考え方”を教えてくれるところはなかったのですが、それから20年たってもまだなかなかないのが現状。そういう現場の必要なスキルとか考え方を教えてくれる場所が、今の学生や若者に必要なんじゃないかなと思いB.D.Fとともにスポーツトレーナーの育成を始めました。

B.D.Fで望む未来

―山田さんがB.D.Fを通じて学生たちの期待していることはありますか?
スポーツの世界で働くことはすごく難しいですけど、スポーツトレーナーというのはスポーツに直接関わりをもてて、アスリートにも求められる重要な仕事です。自分たちはアスリートとして輝くことはできませんが、スポーツ選手の求める目標に一緒に乗れることや”想いを共有”することができます。これからスポーツトレーナー目指す若い皆さんには、是非スポーツに関わっていただきたいと思っています。
―BDFの活動を通して、こんなスポーツトレーナーになってもらいたいという理想像はありますか?
最終的には世界に出て行けるようなスポーツトレーナーがたくさん出てくれることが1番嬉しいです。B.D.Fで学んだこと、スキルやメンタリティー(マインド)は必ず世界で通用することと信じていますし、自分自身海外にいたのでそのことはよく分かっています。必ず通じるスキル、メンタル、人間性も含めて、海外に出て行けるようなスポーツトレーナーになって欲しいと思っています。
―B.D.Fで求める学生像はありますか?
スポーツに関わっていきたい人はいっぱいいると思うので、そのような想いの方は皆さんが対象です。スポーツにどういう風に関わっていけば分からない人も、スキルを学びたくて仕方がないって人じゃなくても僕はいいと思っています。スポーツの入り口、もしくはスポーツトレーナーの入り口としてどんなことやっているのかなっていう子でもいいです。まずは裾野を広げるという点では男女構わず誰でも来てほしいです。特に女子トレーナーは日本ではまだまだ少ないので、女性の層を増やしていきたいっていうのは個人的にはありますね。

選手にとってトレーナーという存在

―大野選手から見た”スポーツトレーナー”とはどういう存在ですか?
私にとってはもう欠かせない存在です。トレーナーさんがいてくれるから選手たちは日々、身体がいくら張っていても痛んでいてもトレーニングに集中して取り組めるし、ケアをしてもらえるということは素晴らしいことです。自分が身体のことを考えずにいられるということは、その分サッカーに集中できる、自分の取り組むべきことに集中できるということなので、そういう意味ではすごく欠かせないです。選手一人一人によって違うと思いますが、私は大事な試合の前日には絶対ケアしてもらいたいですし、一週間の疲れを無くしてもらうじゃないですけど、そういうものを求めているので欠かせない存在です。
―大野選手が山田さんに相談したりケアをしてもらったりという中で、選手として身体への向き合い方がどう変わりましたか?
自分に自信がつくようになりました。山田さんにケアをしてもらうと自分のパフォーマンスに自信が持てます。最近言われたことなのですが、筋肉をほぐしたときに「いい筋肉の張り方をしている」と言われたときに安心しました。本当にしっかり見てくれているんだなって安心するしそれが自信に繋がります。これだけやってくれているのだからベストなコンディションなんだなっていう風に、背中を押してくれます。
―女性選手として女性のスポーツトレーナーは必要だと思いますか?
私は(日本女子)代表の時女性トレーナーに見てもらっていましたけど、やっぱり男性には話せないことも話せるという良さはあるので多い方が良いと思います。また男性を黙らすような女性トレーナーが出てきてくれたら面白いと思いますね。男の人は何でもガッと言えばできると思うのですけど、女性がその立場に立ったときどうなるんだろう?って、見てみたいです。そういう女性トレーナーさんが出てきたら、きっと男の人も”負けてらんねえ!”ってなるので、チームとしても強くなると思います。だから男の人相手に強く出られる女性トレーナーさんが必要だと思います。
―現在B.D.Fでトレーナーの育成を行っておりますが、選手という立場からどのようなスポーツトレーナーがいてくれたら嬉しいですか?
(先輩トレーナーの)真似をする必要は無いと思います。こういう人になりたいとか、こういうトレーナーになりたいとかではなく、自分自身のスタイルを貫いているトレーナーさんがいいです。スキルや知識がしっかりあれば私はいいと思います。私は山田さんや武田さんのような、会話をして打ち解けられるようなトレーナーさんに出会えましたけど、全てのトレーナーがそうじゃなくてもいいと思います。選手には伝えないけど、スタッフにはしっかり伝えられているならそれでもいいと思いますし、自分のスタイルのあったトレーナーさんになってもらえたら私はいいと思います。

今後のB.D.Fの可能性

最後に、山田さんに今後のB.D.Fの可能性についてお話ししていただけますか?
今登録してくれているのは皆さん学生で、女性の方もいらっしゃるのですが、本気で学ぼうと思ってくれている人たちが多いので、本気で来る人には本気で向き合います。
そして僕は『スポーツトレーナーがスポーツを変える』と本気で思っています。
今、大野選手が言ったことみたいなのが、一つ。でも、僕と同じことができなくても、一人のアスリートの考え方を変えたりコンディションのことを正しく伝えれば、これが100人いたら100アスリート(チーム)の力を引き出すことができると思っています。
そういうことを学べるのがB.D.Fで、アスリート一人一人の力を出していけば、日本のスポーツ力が上がることは間違いない。結果的に、日本がもっとスポーツ大国になり、アスリートが幸せになればその周りの人や家族も幸せになるし、プロのアスリートだったらサポーターやスポンサーの方がいらっしゃるのでそこがまた感動を生み、ビジネスにも繋がってくると思うのです。
たくさんの支持者が増えればマーケットもより大きくなるはずです。そこを紐解いていけば、そこのチーム、アスリートには素晴らしいスポーツトレーナーがついているという構図になることに僕は可能性を感じています。
今は小さい活動ですが、本気になってトレーナー一人ひとりがアスリートに向き合っていけば、大野選手のようなメダリストがこういうふうに(欠かせない存在だと)言ってくださっています。
それはトップアスリートに関わらず小さい子どもからベテラン選手まで同じだと思うので、僕は本気で可能性を信じてやっています。
B.D.F講師 山田 晃広氏
<現職>
株式会社The Stadium 代表取締役
株式会社ロコケア取締役
女子プロサッカー 大野忍選手パーソナルトレーナー
<経歴>
1994
早稲田大学サッカー部トレーナー
1997
鍼灸マッサージ資格を取得、治療院とスポーツ現場に携わる
1998
Jリーグヴァンフォーレ甲府 チームトレーナー
2000
スペインバルセロナに移住
バルセロナのサッカーチームオスピタルレットに3年間帯同
2003
スペインリーグ1部ラシンサンタンデールのトップチームトレーナー
※プレーヤー以外では日本人初のスペインリーグ1部のプロ契約
2005
日本に帰国しJリーグ湘南ベルマーレ チーフトレーナー
2010
なでしこリーグINAC神戸レオネッサ チーフトレーナー
2012
ロンドン五輪 澤穂希 コンディショニングサポート
2013
スイスチューリッヒで行われたFIFAバロンドールの祝典に出席
2014
FIFAバロンドールの祝典に2年連続で出席
2015
株式会社The Stadium 代表取締役に就任
<著書>
筋肉を理解して確実に効かせる!「スポーツマッサージ」 西東社
ノジマステラ神奈川相模原 大野忍選手
<所属>
ノジマステラ 神奈川相模原
(なでしこリーグ1部)
<選手経歴>
リーグ出場 297試合 180得点
・日テレベレーザ(1999-2010)
・INAC神戸レオネッサ(2011-2012)
・オリンピックリヨン(2013)
・ASエルフェン埼玉(2013-2014)
・アーセナルLFC(2014-2015)
・INAC神戸レオネッサ(2015-)
<日本代表歴>
139試合 40得点(2003-2015)
2003.1
アメリカ戦で日本代表デビュー
2005
東アジア女子サッカー大会出場
2008
北京オリンピック 4位
2010
第16回東アジア競技大会 優勝
2011
ドイツ女子ワールドカップ 優勝
2012
ロンドンオリンピック 準優勝
2014
カナダワールドカップ 準優勝
<タイトル>
・なでしこリーグ 最優秀選手 3回
得点王 4回、ベスト11 9回
・日本代表 東アジア選手権大会2008 得点王
2011FIFA女子ワールドカップ優秀選手